コンスルーピンヘッダの代わりを探して

この記事は、キーボード #1 Advent Calendar 2022の19日目の記事です。昨日は satromi さんの挟ピッチを流行らせたい話でした。記事を読んで、縦だけ狭くしてみたいなと思いました。

コンスルーピンヘッダとは

自作キーボードでは、主にマイコンボード「Pro Micro」が使われています。 Pro Micro の USB ソケットははずれやすいことで有名で、私も1度実際に ProMicro のソケットがもげたことがあります。 また、同僚の自作キーボードを代わりに製作したのですが、1年ほどたったとき1日に1度くらいキーボードが動かなくなることがあると報告をもらってい、Pro Micro を交換したところ、改善されました。

このように自作キーボードがマイコンボード由来で壊れることがあるため、Pro Micro を着脱可能にするコンスルーピンヘッダ(以下コンスルー)という部品が使われます。 これにより、Pro Micro 由来の故障を簡単に修理(取り替える)ことができ、自作キーボードの寿命を伸ばすのに使えます

コンスルーピンヘッダ

コンスルーを装着したProMicro(左)

ですが、この部品が現在入手が難しくなっています。 確かに以前から欠品が多かったコンスルーですが、現在ほとんどのショップで売り切れています。 このトレンドがいつまで続くのかは不明です。

よって基板を何枚も持っている自作キーボードの設計者では、基板ごと取り替えればよいですが、人に勧める時にはそのようなわけには行きません。コンスルーの代わりに使える実装方法を探しました。

コンスルーは高さを低くすることに貢献している

方法の前に、もう一つコンスルーの重要な利点について解説します。

コンスルーはを使うと、基板とマイコンボードの間には一つのプラスチック部品しかありません。主に自作キーボードで使われるのは、高さ 3.5 mm のものです。これにより基板からマイコンボードの上部までの必要な高さをおよそ 5mm になります。

コンパクトなキーボードでは、基板の裏面にマイコンボードを設置するようになっていて、5mm の高さに合わせてケースが作られている場合があります。

よって基板とマイコンボードの間が3.5mmであることも重要です。

低背ピンソケットを使い、ピンヘッダのプラスチックを外す

簡単に着脱可能なピンヘッダを使う方法として、Arduino Uno のGPIOのソケットにも使われているピンソケットを利用することができます。 これに、ピンヘッダを使って差し込みます。

秋月に背の低いピンヘッダが売っています。

akizukidenshi.com

低背ピンソケット

このピンソケットの高さは3.5mmになっています。

これにピンヘッダを使うと、さらにピンヘッダ分の高さが必要になります。

ピンヘッダとピンソケットの実装

このピンヘッダのピンは結構簡単に動かすことができます。ラジオペンチなどで片側から押すと、簡単にこのように片方にプラスチック部分が寄ったピンヘッダを作れます。

片側にプラスチックが寄ったピンヘッダ(左)、もとのピンヘッダ(右)

この状態でピンソケットに差し込み、マイコンボードをを重ねて差し込みます。

片側によったピンヘッダを指したところ

図解すると以下のようになります。

この状態ではんだ実装を行い、実装後、ピンヘッダのピンの余った部分をニッパで切断します。

ニッパで残ったピンを切断

ほぼコンスルーと同じサイズで、着脱可能なマイコンボードが実装できました。

ただし、これだけのピンがあるとなかなか抜けません。あまり着脱するものではないので問題ないかと思います。

他に考えた方法

他の方の取り組み

サリチル酸さんが取り組まれているツイートがあったので紹介します。

正確な製品名はわかりませんが、以下のような基板用リードフレームをつかった場合と思われます。

akizukidenshi.com

海外の方の、様々な取り組みのまとめを教えていただいたので紹介します。ピンヘッダからピンだけを取り出してピンソケットに利用しています。コンスルーの紹介もあります。

github.com

ピンソケットの入手

記事中では、秋月で購入できる以下のピンヘッダを使用しました(再掲)。

akizukidenshi.com

遊舎工房では、近い形のピンソケットが扱われていました(記事を書いたあとに気づきました)。型番から仕様を確認すると、0.64mmピンをコンタクトに使えるとのことなので、ProMicro付属のピンヘッダが利用可能と思います。

ピンヘッダー・ピンソケットshop.yushakobo.jp

まとめ

コンスルーの代わりにピンソケットが、割と簡単に使えることを示しました。 これを使って自作キーボードの寿命を長くしていきましょう。