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- カインズ工房ではレーザー加工機を使って自作キーボード用のプレートを作成できます
- 利用条件にAdobe Illustratorで作成したデータが必要ですが、無料で利用できるInkscapeでも問題なく作成できました
- 前に利用したときと制御ソフトウェアが変わっていました
- いろいろはまりポイントがありますが、この記事にまとめました
自作キーボードでのアクリルでのプレート製作
遊舎工房さんなどのレーザーカットサービスを使って、アクリルをカットして自作キーボードのプレートを作ることがよく行われます。私自身も遊舎工房さんのサービスを利用したり、地元にあるホームセンターのカインズ工房のレーザー加工機を利用して、アクリルのプレートを作成しました。
今回、新たな自作キーボードを作るにあたり、久しぶりにカインズ工房のレーザー加工機を利用しました。その時にやったことをまとめます。
4年前の記事の補強板となっています。
カインズ工房のレーザー加工機
カインズ工房ではレーザー加工機の時間貸しサービスを提供しています。 2026年2月現在、30分2,500円の料金で利用できます。
このサイトで予約して利用できます。 こちらのサイトにマニュアルがあり、事前にどのような操作をするのか確認できます。
この利用には、事前にAdobe Illustratorで作成したデータが必要になります。 しかし、筆者はAdobe Illustratorを持っていないため、無料で利用できるInkscapeで作成したデータを利用しましたが、問題なく利用できました。
まず大前提
ここに書かれていることはカインズ工房の公式の情報ではありません。
カインズ工房から、公式のマニュアルは前節の通り公開されています。 こちらをよく読んで、利用してください。 当日も、こちらのマニュアルを見ながら操作するようにしましょう。
また、カインズ工房ではIllustratorで作成したデータが必要とされていますので、Inkscapeで作成したデータでダメと言われた場合には諦めてください。 利用できない場合やトラブルに対して、本記事の執筆者は責任を負いません。 自己責任で行ってください。
初回利用時には、カインズ工房のスタッフの方が操作方法を教えてくれます。 特に、レーザー加工機の焦点合わせの方法は一度教わりましょう!
カインズ工房のレーザー加工機に必要なデータ
カインズ工房のレーザー加工機で利用するのに必要なSVGデータの形状は以下のようになります。
- 1箇所のくりぬきのためのパスは、1つのパスでできていること
- 1つのパスは、ノード(点)同士が全て繋がっていること
- つまり、ノード(点)を1個動かすと、ノードに繋がった2つの線が動く状態です。2つのノード(点)が同一座標に置かれている状態とは異なります)
- グループ化されていないこと
- 線の太さは、0.01mmまたは0.003pxであること
- 線の色は、#ff0000(赤単色)であること
- 各オブジェクトの塗りつぶしは、なしであること
この状態のSVGデータを作成し、Adobe Illustratorで開いて利用できました。
KiCadからカットデータとなるSVGファイルを作成する
筆者の場合には、まずトッププレートのデータをKiCad上でEdge.Cutsレイヤーとして作成しています。 KiCadを使う理由は、事前にロジックPCBのデータをKiCad上で作成しているため、ロジックPCBのスイッチの位置に重ねる形でトッププレートのデータを作成できるためです。

既にトッププレート用のEdge.Cutsレイヤーだけのfootprintを作成してあり、それを配置しています。 なお、このfootprintはGitHub上で公開しています。 ここのSwitch_MXSwap_1.25u_Top.kicad_modなどのファイルがそれに当たります。
次にこのデータをSVGに出力します。
メニューバー->ファイル->プロットから、以下を設定して、プロットを押します。

ここで作成されたSVGは、線分ごとにパスが作られ、ノード(点)が繋がっていない状態になっています。
このパスを繋げるには、まず、1つのくりぬきのパスを全て選択して、メニューバー->パス->結合を行います。 しかしこの状態では、線分同士が繋がっていない状態になっています。 各線分の重なっているノード(点)を選択し、「選択した端点ノードを連結」し、ノードを繋げて、1つのパスにしていきます。



単一パスにするのとノードを繋げる作業がなかなか骨の折れる作業です。 これをスクリプト化したものを下記に置いています。 このスクリプトは、ひとまず私の環境で動いたものであり、必ず利用できることを保証する物ではありません。 実行後、期待通りのファイルになっているか、Inkscape上で確認してから利用してください。
その後、以下を行います。(上記スクリプトは、グループ化までは行いますが、色設定までは仕込んでいません)
- グループ化を解除して、全てのパスが並列に並んだ状態にする
- パスの内、最も外側のパスを最後に移動する(最も外側のパスが最初にカットされると材料が動いてしまうため)
- 全てを選択し以下を設定する
この状態のSVGファイルを持ち込みました。 カインズ工房設置のPCでAdobe Illustratorで開いて、aiファイルとして保存しました。
これまで遭遇したデータ周りのトラブル
カットとして認識されない
2回目のレーザーカッターを利用した時に、カットとして認識されない問題が発生しました。カットではなく彫刻としては認識されているようでした。
Ctrl+Aでオブジェクトの全選択をしてみると、「塗りつぶし」の所が「透過(斜線表示)」になっていませんでした。「塗りつぶし」があるとカットラインとしては認識しないようです。「塗りつぶし」を「透過」にすると認識するようになりました。
あとからInkscapeのSVGファイルを開き直して全選択をしてみると、確かに「フィル」が「x(なし)」になっていませんでした。
Illustratorで開いた時に一部の図形が表示されない
3回目のレーザーカッターを利用した時に、Illustratorで開くと一部の図形が表示されませんでした。
表示されたものと差を見ていくと、グループ化されていると表示されていないようでした。
グループ化を1つ1つ解除することで、カットラインとして使えるようになりました。
カインズ工房のIllustratorにて、スウォッチライブラリがない
Rubyを用いたマニュアルでは、スウォッチライブラリでspeedyを選択するように指示があります。 しかし、私の利用した店舗のIllustratorにはスウォッチライブラリにありませんでした。 ひとまず、そのままで利用できました。
カットの順序として、外側を最後にカットして欲しいがそうなってない
カットの際には、ずれないようにするためにも、内側を先にカットし、外周部を一番最後にカットすると良いです。
Ruby(レーザ加工機操作用ソフトウェア)の操作中に、カット順序が表示されるのですが、確認すると外側が一番最後になっていませんでした。 Ruby中のカット順序の表示にて、順序を入れ替えることができ、そこで一番最後に持ってくることができました。
おそらくSVGファイル内のレイヤーの表示で、外周のパスを一番最後に持ってきていれば良かったのだと思います。
カインズ工房でのレーザー加工機の操作手順
カインズ工房提供のマニュアルの通り操作していきましょう!
現地にもこのマニュアルを印刷した物が置かれており、これを見ながら操作しました。 繰り返しになりますが、初回利用時には、カインズ工房のスタッフの方がレーザーカッターの操作について教えてくれます。 かならず教わってその通りやりましょう。
パラメータの設定
素材によってカットに必要なパワーやスピードのパラメータ設定が異なります。 ショップにあるマニュアルにはパラメータの設定例が載っていますので、そちらを参考にしてください。
アクリル2mmのパラメータ設定例
2021年当時は、以下のパラメータで利用していました。
- パワー: 100
- スピード: 0.55
- Hz: 1000
その時は、スピード0.6では一部の箇所のみ切断できない(力を加えれば折れるので、使えなくはない)ところがあったので、最終的に0.55にしていました。
しかし、2026年2月に利用した際には、同じパラメータ設定で、わずかに一部が切断できないところがありました。 よって次回はさらにスピードを落として、0.50で利用してみようと思います。
- パワー: 100
- スピード: 0.50
- Hz: 1000
カットにかかる時間
操作中に、カットに要する時間が記載されます。以前の私のデータの場合は4分40秒でした。
しかし、このカットを始める前に、「レーザーカットのデータの送信」、「アクリルの設置」、「焦点合わせ」を行う必要があり、データの送信は同一のものを出力する場合には省略できますが、「データの送信」に慣れても3分、「アクリルの設置」、「焦点合わせ」に1分程かかります。
さらに、レーザーカットの後には排気が行われ、材料が取り出せるまでに時間がかかります。さらに切断後の素材のため、いろいろカットした部分がポロポロ落ちるため、取り出して折り曲がらないところに挟み込むまでにも時間がかかります。慣れても1分ほどかかると思います。
よって、1枚あたりの作業は、カット約5分+前後2分で、7分ほどかかる計算になります。すると、30分でできる加工は4枚セット分程度だろうという試算になりました。
今回利用したときも、データセットアップに7分程度かかり、30分で2枚カットがぎりぎりでした。
加工する時に別途用意するもの
次に加工する時に別途用意するべきと思ったものは以下の通りです。
- 完成部品を入れておくケースを用意しておくこと。段ボールを2枚用意し、長めの輪ゴムで巻いたもので挟んで持ち運びしました。
- 端材を入れる袋を用意しておくこと。スイッチの穴があり、大量に小さな端材が出ます。
レーザーカットサービスか、時間利用で自分で加工するか
このようにレーザー加工機でどのような生産ができるか見積もれるようになりました。
今ボトムプレート10セット分、トッププレート5セット分を作成したいのですが、そのコストは以下と試算できます。
- レーザー加工機レンタル2時間(16セット分)2,500円x4=10,000円
- アクリル材料費 アクリル板透明2mm 300x450mm(3セット作れるサイズ)x5枚(15セット分)=2,673円+送料
- +交通費
アクリルの購入先
アクリルははざいやで購入しました。様々な種類のアクリルを販売してくれます。
今回の製作
今回は、アクリルをトッププレートにした自作キーボードを製作しました。 3Dプリントしたケースと共に利用して、天板がアクリルで綺麗なため、見た目がとても良くなりました。