tl;dr
- M5StackCore2、M5Dialを、キーボードのトラックパッドとして組み込もうとしているよ。あくまでキーボードのUSBなので、ハブを介していると、電源供給が怪しいよ。
- M5StackCore2は、M-BusのBATに電源を供給し、4Vでも200mAで動作したよ。これでバッテリーレスで動作できそうだよ。
- M5Dialは、BATに電源を供給し、5Vでも400mAで動作したよ。4.8Vでギリ動くけど、4.8V以下に下がると怪しいよ。
M5StackCore2、M5Dialをトラックパッドとして使いたい……
M5StackCore2は、M5StackCoreの上位版とも言えるもので、タッチパネルが付いています。
M5Stack Core2 v1.1www.switch-science.com
M5Dialは大きなロータリーエンコーダーが目を見張りますが、円形ディスプレイもタッチパネルになっています。
M5Stack Dial ESP32S3 スマートロータリーノブwww.switch-science.com
以前、M5Dialをトラックパッド化したことを記事にしました。
M5Dial をトラックパッド化してみたが、少しチューニングしていったら良い感じで実用性ありそうだ!!
— 74th (@74th) October 22, 2023
キーボードにくっつけてもよいし、手で握るタイプのデバイスにしても良さそう。#M5Stack pic.twitter.com/iPhzxoFTNy
この形で、キーボードに組み込みたいと思いました。
5V供給用のGroveポートを用意したが……
しかし、M5StackCore2も、M5Dialも、基本はUSBから電源供給される様に設計されています。キーボードとしては既にキーボードとしてUSBの機能が必要なので、そこから5V電源を供給することになります。
そこで、キーボード内に、5V電源を取り出すためのGrove端子を用意しました。しかし、上手く電源供給できたりできなかったりします。まずは、この環境がどの程度電源供給能力があるのか、M5StackCore2、M5Dialがどの程度必要としているのか調べることにしました。
どの程度の電流、電圧を供給することができるのか
自分のキーボードに用いるUSBは、自作のUSBハブを経由して動作させています。はっきり言って、電源を供給する工夫はほとんどしていないものです。
他の方も、バスパワーのUSBハブを介して利用している方が多く、USB電源と異なり、あまり安定的な電流を期待できないものでしょう。
実際に、電子負荷を使って、どの程度電流を取り出すと、どの程度の電圧降下が発生するのか確認しました。電子負荷は、必要な電流を入力すると、その電流を引き出して、そのときの電圧を表示してくれるものです。
電子負荷は以下のものを使っています。
9.99a 60w 30v定電流電子負荷放電バッテリー容量テスター - AliExpress
電流 | 電圧 |
---|---|
0.50A | 4.55V |
1.00A | 4.04V |
このように、500mAの取り出しで4.5Vまで下がることを確認できました。結構大きいです。
なお、USBに直接安定化電源から電源を供給すると、5V2Aは動いたので、キーボードの回路自体は問題はなさそうです。
M5StackCore2
M5StackCore2 には、背面にM-Busと呼ばれる本来スタックするための端子が付いています。
※画像はスイッチサイエンスより引用 https://www.switch-science.com/products/9349
ここから、I2C通信のためのポートと、内蔵バッテリーを外した状態で電源供給を行えないか確認しました。
確認には、安定化電源(DP100)で、直接電源を
結論を書くと、BATに電圧をかけることで、起動を確認できました。以下の電圧と電流で動作しました。4Vに電圧低下しても動くと言えるでしょう。
入力電流 | 入力電圧 |
---|---|
5V | 0.2A |
4.5V | 0.2A |
4.0V | 0.2A |
また、M-Busの5Vのところに電圧をかけてみましたが、これでは動作しませんでした。
M5Dial
M5Dial には、背面に BAT とかかれた 2.54mmピッチのソケットが付いています。ここには6V〜36Vを入力する仕様です。つまり、5Vはサポートされていません。
※画像はスイッチサイエンスより引用 https://www.switch-science.com/products/9271
ここから5Vで動作するのか確認しました。結論から言うと、動作しますが安定しませんでした。また、4.8V未満になると動作しませんでした。
入力電圧 | 入力電流 |
---|---|
5.0V | 0.4A |
4.8V | 0.4A |
安定しないと言うのがどういう状態かというと、LCDのバックライトが付くのですが、タッチパネルに触れても動作しないように見えます。一度電源を落として再度入れると動作します。おそらく完全に起動するのに失敗するが、電源を一度落として入れるという内部のコンデンサに電化がたまった状態で起動すると起動する形です。
そして、結構消費電流が大きく400mAを常時消費していました。
また、USB経由からの給電でも実験しました。なんとこちらでは、4Vの給電でも動作しました。ただし、どの電圧でも常時500mA位を必要とします。更に落として、3Vでも動作はすることは確認できましたが、LCDのバックライトがだんだん暗くなり、2.6V辺りできえました。しかし動作はしているようです。
入力電圧 | 入力電流 |
---|---|
5.0V | 0.5A |
4.0V | 0.5A |
3.0V | 0.5A |
キーボードからの電流供給で動くのか
M5StackCore2に関しては、ここまで見たとおり、4V、200mA電源供給できれば良いため、設計したGroveポートから動作できることが確認できました。
M5Dialは5Vでは不安定にはなりますが、動作しないことはないというくらいには、動作しました。2回接続すれば起動する感じです。
後から見ると、よく動いたな、という気がします。
まとめ
M5StackCore2と、M5Dialで必要となる電源について調べました。
M5StackCore2はモジュールとして十分使えそうです。M5Dialはちょっと怪しいですが、使えそうです。安定させるには直接5VをさせるUSBのドーターボード経由にすべきと言うことがわかりました。