RP2040の手はんだ実装汎用サポート治具を作った

tl;dr

  • RP2040は0.4mmピッチのはんだづけが必要なMCUだよ。実装前の位置決めが、実装の成功を分けるポイントだと感じているよ。
  • 位置決めをサポートする治具をかつてつくったけれど、PCBごとにサポート治具を作るのは面倒だけど、汎用治具を作ったよ。
  • 実際にキーボード基板に適用したけれど、実装が凄く楽になったよ。

RP2040を手はんだ実装しよう

RP2040は、Raspberry Pi Picoに使われているマイコンで、最近電子工作では多く使われています。 QMK FirmwareがRP2040に対応したのもあって、私自身が作る自作キーボードはRP2040を実装するものになっています。

一方基板に組み込むには、RP2040は0.4mmピッチのICとなっており、かなり実装難度が高い物になっています。 私自身はこの実装難度にトライするのが面白く、「手はんだ実装指南ガイド」を作成し、さらに「手はんだ実装挑戦開発ボードキット」販売するほどです。

docs.google.com

74th.booth.pm

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この指南ガイドでは、マスキングテープで固定し、ルーペで拡大して確認するように求めています。 この方法でほぼ失敗することは私はなくなりましたが、なかなかに気力を消費します。

以前位置合わせ治具を作っていたが、無駄が多いと感じて止めてしまった

一番最初にRP2040にトライしていたときは固定補助具を開発して利用していました(既に2年前)。

この作戦は非常にうまくいったのですが、「RP2040を使った基板を作る度にこれを作らねばならないのか?」という無駄をかんじてしまい、手はんだで頑張るテクニックを磨く方に行きました。

RP2040を使った自作キーボードキットを作る

RP2040の手はんだ技術を身につけたことに満足した私は、自分の作る自作キーボードキットにおいて、RP2040を直接実装することを考えました。その方が、開発ボードを使うよりもコストが安く済みます。そして、RP2040の実装自体は私の方でやっておけば、購入者にとってはダイオードとソケットさえ実装できれば良く、開発ボードを使ったキットと苦労は変わらないのではと言う結論に至りました。

自作キーボード専門の即売会イベント、キーケットにて、RP2040を使った自作キーボードキット3種を販売しました。3種とも、RP2040を私の方で事前にてはんだしたキットになります。

74th.booth.pm

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74th.hateblo.jp

この時、20個ほどRP2040を実装する必要がありました。

この時もやはりRP2040のはんだづけが一番苦労しました。そしてかなり神経を使い疲れました。

途中から、はんだごてでの実装よりも、プリヒーターを使った方が楽という結論に至り、その方針に変更しました。すると、位置合わせが割と楽になりました。

そして、持っていくキットの作成が完了しました。

プリヒーターを使えば良いのですが、もっと簡単にできないかと考えるようになりました。

汎用位置合わせ治具を作る

以前行った位置合わせ治具の作戦は良かったとして、これを毎回作り直さなくても使える様にならないかと思いました。

そこで、汎用位置合わせ治具のアイディアがでてきました。

これは、予め位置合わせにピンヘッダを通す穴を多数開けておき、その穴のうち最低2個を使うように合わせたPCBを作成すれば、どのようなサイズのPCBでも位置合わせに活用できるものです。

位置合わせ治具PCB

位置合わせ治具と、RP2040のまわりに穴の空いたPCB

RP2040のまわりに穴の空いたPCB

ピンヘッダを貫通させて位置を合わせる

実装を終えて取り外す

これにより、位置合わせを慎重に行う必要がなくなりました。新たなRP2040を使ったPCBを作ったとしても、このいくつか対応した穴を開けておけば、利用できます。

キーケットで完売してしまった自作キーボードキットの第2ロットは、この仕様にしたところ、非常に扱いが楽になりました。

Boothにて販売中

こちらの汎用治具は、Boothにて販売しております。

74th.booth.pm

販売しておりますが、KiCadファイルはこちらで公開しておりますので、良ければ是非使ってみてください。

github.com