技術書典13 で面白かった本

多くの技術同人誌が発行されました。 そのうち、私が手にした数少ない書籍の中で、私にうけた本を紹介します。

最近の興味がハードウェア寄りになっているため、その本が多くなっています。 しかし、最初に紹介する本は、ソフトウェア寄りの方にもすごくおすすめです。

ハードウェア記述言語NSLで作るオレオレRISC-V CPU (こやまん)

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タイトルの通りハードウェア記述言語で、RISC-V CPUまで作っちゃう本。

最初がハードウェア記述言語 NSL の解説になっていて、ふむふむと、こんな簡単なコードでハードウェアになるのかと、理解を深めれます。 ハードウェア記述言語といえば Verilog ですごく敷居の高いイメージがありましたが、これをみると、おっ、私にも扱えるんじゃないかと思わされます。

後半、NSL を使って自作CPUの開発に進んでいきます。 RISC-Vの簡単な命令を実装し、これは理解できます。 そこから、パイプライン、アウト・オブ・オーダー実行を実装に進みます。 コードを細かく理解できるまでに読み込めませんでしたが、ブロック図で図解しているため、なんとなくわかった気にさせてくれます。

最後に、RISC-Vのテストを通す、という構成になっています。

簡単なNSL文法からスタートして、実際にRISC-V のCPUの実装を追体験させてもらえることに高揚し、最後テストを通して締める。 それほど厚くない本ですが、60ページにそれが凝縮されており、非常に読み進めやすく、面白く読むことができました。

今回の技術書典13 で個人的に最も刺さった本になりました。

詳説カシオミニ(はどら秘密研究所)

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生まれたときから電卓が100円で買えた世代なので、カシオミニがどのようにすごいのかわかりません。 しかしこの本を読むと、どのようにカシオミニが誕生し、発売当時どのようにうけ、市場に広まっていったのかを追体験できます。

さらに、安価な電卓とするためにどのような工夫がされているかという解説があります。 いくつものハードウェアの工夫が合って、自作キーボードでハードウェアを作っている自分にはすごく面白く読めました。

最後に、カシオミニの操作法の説明があります。 6桁しかないカシオミニでの、減算の仕方、除算の表示の仕方に、自分の知っている電卓と異なり、面白いと思いました。 表の形で入力順が書かれていて、工夫されていて、読みやすかったです。

これだけの内容が 25 ページと、簡潔にまとまっていて、飽きることなく読み終えることができました。

秋葉原で探すコネクタの選び方(Motomation)

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紹介している数が41と多いのが、おかしかったです。 様々なコネクタが秋月でも売っていますが、初心者にとっては何を買えばよいのかわかりません。 多数紹介されていますが、これを使う良いという紹介がされていて、非常に助けになります。 では、それ以外のコネクタはどうなのか、それらについても、鉄板のコネクタと同じ分量と熱量で紹介されています。 この大電流をするならコネクタは使えるだろうというような、各コネクタの良いところが細かく書かれているのは、自分は使うことはないだろうけれど、面白く読めました。

あと、表紙の女子高生がコネクタ選びに悩んでいるイラストはウケました。

ハッキング・ラボで遊ぶために辞書ファイルを鍛える本(ミライ・ハッキング・ラボ)

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自分がハッキングで使う辞書を作ることはないですが、それを作る時に使えるもの、考えること、やってみたことを追体験することができ、非常に面白く読めました。

SSDはHDDの夢を見るか?(犬小屋研究所)

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SSDは、HDDより壊れにくいというイメージがありますが、それが本当なのかを検証しています。

検証の方法が、実際に著者が動かした結果ではなく、公開されているデータセットを分析して、結論を導き出しています。

そして得られた結論が、著者も書いていますが、思ったものとちがったところにゴールしていて、驚きともに面白かったです。

罪!?詰み?積みボード選手権 Vol.1(野良ハック)

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IoTLT のパネルディスカッション的な講演を、テキストに描き下ろしたものになっています。

次々とセンサーや、パーツ、マイコンボードが登場し、どうしてそれに惹かれたのか、そして積んだのかを説明されていきます。 面白かったのが、そのパーツについて詳しくない方も参加されていて、その場で解説を読んだり、詳しい人から話を聞いたりして、理解を深めていくのが、一緒にパーツについて詳しくなる追体験ができて、面白く読めました。

すべて会話の描き下ろしのため、読みやすく、内容も浅すぎず、深く難しいところまで行かず、いろいろなものをつまみ食いするように面白く読めました。

私の新刊『土曜日のRaspberry Pi Pico』も

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Raspberry Pi Picoの本といいつつ、表紙がすでに国内で買える Pico ではない本です。

WiFi対応 Pico W で、BQとAWS IoT につなぐ記事と、 Picoのマイコン RP2040 を使った自作ボードを作って苦しんだ記事です。

RP2040 を手はんだ実装で、自分のガジェットに組み込みたい方におすすめです。 そんな方いるのか?と思われますが、オフラインの時にそんな方2人にお会いすることができました。

物理書籍には、この開発ボードの基板がおまけで付きます!