RP2040 への理解度が高まってきたところで、ProMicro型 RP2040 開発ボードを設計し直しました。
背景
Raspberry Pi Pico の MCU である RP2040 を理解したく、『Hardware Design with RP2040』に沿って、RP2040を使った開発ボードを作っていました。 その顛末を技術書典13で頒布した『土曜日のRaspberry Pi Pico』という本にまとめていました。
この本にも書いたのですが、RP2040 を使った開発ボードは『Pico型』と『ProMicro型』の2つを同時に作っていたのですが、『ProMicro型』は動作し、『Pico型』は動作しないという結果に最初なりました。このことから、RP2040への理解を深めていきました。
現在、満足のいく『Pico型』ができた結果、よくわからず作った『ProMicro型』に対して、今ならもう少しよく作れそうだと考えていました。
ProMicro型は、私自身が何か作ってみるにはちょうど良いIOの数で、"自分がよく利用するサイズ" なので、新型が作りたくなりました。
ProMicro型に組み込みたいこと
ProMicro型を再度設計するに当たって、以下を組み込みました。
- より小さく作るために
- 配線を 0.2mm から 0.15mm にする
- ミッドマウント型のUSB Type-Cソケットを止めて、通常の表面実装タイプを使うこと
- レギュレータを SOT-223 から、小型の SOT-89 パッケージのものを使うこと
- デカップリングキャパシタを、各 VDD ピンの近くに電源元を挟んで配置すること
- リセッタブルフューズを付けて、USBを保護すること
今までやっていた以下の所は継続することにしました。
- RP2040 のサーマルパッドを、裏から手はんだ実装ができるようにすること
- 0805部品を使い、手はんだ実装が楽しめるようにすること
さらに回路図にはない欲しかった付加機能として、以下があります。
- 各ピン番号が本体を見てわかるようになっていること(逐一数えなくて良い)
- I2C、UART、SPI、ADC がどのピンで使えば良いかわかるようになっていること(データシートを見返さなくても良い)
リセッタブルヒューズ
リセッタブルヒューズでUSBを守れているのかを確認はまだできていませんが、VDDに追加しても特に問題なく利用できています。
リセッタブルヒューズには TaoBao で 100枚 200円 くらいで買ったものを付けていますが、正しいのかわかりません。
このリセッタブルヒューズ自体は 1812 という規格のサイズのため、代わりの品は容易に入手できます。
そして期待通りのものができた
そして、期待通りのものを作ることができました。
新しい RP2040 を ProMicro ピンアウトにしてみた基板を実装にトライする。ポリフューズとかを入れてみたのもあって、裏面の 0805 サイズの部品が狭苦しく多くなっている。 pic.twitter.com/9RmEpfKFUa
— 74th (@74th) January 15, 2023
うし、一発で動いた!! pic.twitter.com/vqhLAnmgi0
— 74th (@74th) January 15, 2023
添付ガイドもアップデート
今回また Booth に出品するに当たって、添付ガイドをアップデートしました。 自分の中でRP2040を手はんだする時に使っているノウハウを全てまとめました。
Booth にて販売中
現在、BoothにてこのProMicroサイズRP2040手はんだ挑戦キットは販売中です。基板と1個の実装に必要な部品が全て付属します。
また、この回路図、PCB及びKiCadファイルは以下のリポジトリで公開しています。
ちなみに公開しているのは、この開発ボードの設計自体にはそんなに価値があるとは思っておらず、そんなことよりも開発ボードの作成にトライして、そのあとKiCadファイルを見られる体験をしてもらう方が私としても嬉しいと思うからです。MIT License で公開中ですので、ぜひ必要であればデータを利用してください。