tl;dr
- 屋内に設置するために、インテリアとなるべく溶け込めるようにケースを作ったよ。画鋲で留めるよ。
- ケースを作るときに、下部の端が変形してしまうので、プリムを付けていれば多少良くなるよ。プリムから出るバリは、デザインナイフで切り取っているよ。
- プラスチックは曲がるので、爪を作って蓋を留めるようにしたけど、柱が弱くてポキッとなってしまうよ
- ケースを基盤に留めるには、適切なサイズの穴を開けておけばネジ止めできたよ
- 雑にはめ込みタイプの蓋を作ったら良かったよ。丁度の寸法でもプラスチックだから収まるのと、積層痕がツメとなってうまくかみ合ったよ。
先に完成したケースと設置写真
今ESP32-C3を使ったGroveを3ポート持つIoT Serverを作って、リビングクーラー、寝室クーラー、TVに設置しています。
ケースを作ることで、電子基板むき出しよりも、インテリアに溶け込む感じがして良いですね。
使用している3Dプリンタ
AmazonのセールでAnker M5Cをセールで¥48,993で購入してから、とても扱いやすく活用しています。 今であればBamboo A1 Miniでしょうが、しばらくこれを使い続けることになりそうです。
ケースを変形させないように
ケースの下部の端の部分は、収縮が発生して曲がってしまうことがありました。小さい部品であれば、地面から剥がれてしまい、もじゃが発生することがありました。
これに対して、AnkerMake Studioではスライス時に「プリム」をつけることができます。プリムは地面への接着量を増やしてくれます。
現在、作るものの大きさによって変えていますが、以下の設定にしています。
- プリムタイプ: 外側プリムのみ
- プリム幅: 8mm
- プリムとオブジェクトの間隔: 0.1mm
これで大抵はモジャらずに印刷できているようです。
バリの除去にはデザインナイフが使いやすい
これで発生したバリの除去には、デザインナイフを使っています。
カッターナイフよりも、手で持ちやすく、細かい作業がやりやすいように感じています。しかも、デザインナイフ自体カッターナイフなのですごく安いです。
基板をネジ留めするためにはただ穴があるだけでよさそう
基板をネジ留めするために、当初埋め込みナットをケースに埋め込もうと考えていました。
しかし、スタックチャンの製作で、タカヲさんのケースで様々なネジを直接3Dプリンタしたケースに直接ネジ留めして取り付けているのを体験しました。これにより、3Dプリンタのプラスチックであれば適切な穴を開けておけばネジ山の分凹んで留められるとわかりました。
では、どのサイズであれば良いのかを検証するために、様々なサイズを開けたものをプリントし、試しました。結果、うちの環境であれば、M2ネジに対して2.1mmの穴を開けておくと良いことがわかりました。
3DプリントしたものにM2ネジを刺せる穴サイズを検証した。うちのプリンタ(AnkerM5C)では、そのまま 2.0mm がちょうど良かった pic.twitter.com/qNQxwMbfp7
— 74th (@74th) June 29, 2024
このときに使った3Dモデルはここにおいてあります。
これでPCBをケースにネジ留めすることができました。
蓋をネジなしに留めたいが、柱を立てるとポキッとなる
基板ケースの蓋を作るに当たって、蓋をネジ留めではなく、はめ込みで実現したいと思っていました。
構造としては、M5NanoC6で使われているようにツメで実現できないかと検討しました。M5NanoC6はネジが使われておらず、とてもシンプルな構造です。
プラスチックであれば多少変形するため、ツメの柱が少し曲がることで留められるようになると考えました。しかし、柱の構造がPLAでは弱くなってしまい、ポキッと折れてしまうことがあるため、強度と柔軟性のバランスを探してみようと思い検討しました。
小さいバッチの研究では、以下の寸法にていい感じの蓋ができました。
4回のポキッを経て、ネジを使わない蓋がプリントできた pic.twitter.com/56dwd0MhWE
— 74th (@74th) June 23, 2024
使った値のメモを残しておくhttps://t.co/CPk0sl7eva pic.twitter.com/zK8S7Zo5w8
— 74th (@74th) June 23, 2024
しかし、実際にケースとして運用してみると、簡単にポキッとなることが発生しました。利用しているフィラメントにもよるのでしょうが、これは実用に耐えないとなってしまいました。
雑にはめ込みの蓋を作る
印刷素材はプラスチックであり、多少は変形するので、丁度の寸法で作ってもはまったりするのではないかと考えました。
以下のような、垂直の面を作りました。モデル上は、蓋とケースの隙間はなく、ぴっちりとはまるようになっています。
これを印刷してはめたところ、少しきつい感じはしますが、問題なくはまりました。
そして、予想していなかったのですが、印刷したケースに積層痕があることで、積層痕同士がかみ合っているように感じました。これでより蓋として固定されるようになりました。
蓋を外すときも、手の爪を少し引っかけて力を込めれば外すことができ、良い加減でした。
この方法はモデルを作るときも、微妙な傾斜をつけたりツメをつけたりせず、単純でよく、簡単にできます。これは良い方法が見つかったと思いました。
RGB LEDのインジケータ
このケースで使おうと思っているボードにはRGB LED(SK6812MINI-E)が付いています。そのままでは眩しいため、裏から紙を貼ったところいい感じに光を表示するインジケータになりました。
今思えば、3Dモデル上で薄い部分を作っても良かったかもしれません。
ケースをつけて運用中
これで、オリジナルのESP32-C3ボードをはめて、家電に溶け込ませることができるようになりました。 冒頭でも紹介したとおり、すでに室内3箇所に設置して運用しています。
こちらのボードを作った経緯は、また別途記事にしたいと思っています。
便利すぎるIoTボードはBoothにて販売中
現在、こちらのボードおよびケースはBoothにて販売しております。良ければ手に入れてみてください。
また、KiCad設計データ、ケースの3Dモデル自体は、GitHubで公開もしております。