2019年12月にLily58と出会ってから5年、未だに自作キーボードで遊んでいます。2024年の自作キーボードの楽しみを記録しておくことにします。電子工作の記事と同一記事にするつもりで書き始めましたが、量が多くなったので、自作キーボードは分離して記事にすることにします。
自作キーボードの制作
M5Dialをトラックパッド化したSparrowDial
M5Dialをトラックパッド化してみた記事を2023年12月に公開しました。 これを使った自作キーボードを作ろうと計画し、SparrowDialを作りました。
実用レベルのトラックパッドになり、M5Dialによる大きなロータリーエンコーダスクロールが非常に独特なキーボードになりました。 これでツイッタータイムラインを眺めるのが楽しいです。
M5Dial、M5StackCore2をトラックパッドのI2Cモジュール化し、キーボード側にはRP2040を積むことで、QMK FirmwareやRemapを使ったカスタマイズができるようになっています。
また、このためのI2C通信のプロトコル仕様を作成し、QMK Firmwareで使えるように実装しました。
制作については記事にしています。
こちらについては多く注目いただき、びあっこさん執筆のHHKB Lifeの記事にしていただいたり、M5Stack Creative Contest 2024に応募し「商業アイディア賞」をいただきました。
現在でも、Boothにてキットを販売中です。
StickPointVと、それを搭載したSparrow60C
ジョイスティックモジュールをチューニングし、トラックポイントキャップをつけてポインターデバイス化したI2Cモジュール、StickPointVを制作しました。
これはI2Cプロトコルを、Pimoroni Trackball互換とすることで、QMK Firmwareでもさくっと使えることを狙ったモジュールになっています。
こちらの制作については記事にしています。
現在でも、Boothにてモジュールキットを販売中です。
そして、このモジュールを組み込んだ自作キーボードキットSparrow60Cを作りました。GH60互換ケースを利用することで、キーボードに強い操作をしても大きなケースで安定することができます。
汎用ケース対応ということで、アルミ削り出しケースを購入して装着して、とても見た目の質感が上がって嬉しくなりました。2024年最も使っていたキーボードはSparrow60Cになっていました。
この制作については記事にしています。
現在でも、Boothにてモジュールキットを販売中です。
SparrowG21
GH60互換ケースを使ったゲームコントローラーデバイスが欲しいなーと思い、SparrowG21を作りました。
特徴としては、格闘ゲームを私はしないので、ジャンプボタンを親指に置き、上下移動を行いやすいキー配置にしたり、アクションゲームで急に必要になるジョイスティックを2本搭載したことなどです
スイッチには自作キーボードのCherry MX互換、もしくはKailh Chocスイッチを使えるようにしました。ファームウェアにはGP2040-CEを使いました。
ゲーミング製品なので、RGBLEDで光らせたりしました。
.@TalpKeyboard さんで注文したDurock Ice King届いた。スイッチ全体が光る感じになって良い感じ。 pic.twitter.com/hgLzwfzSiH
— 74th (@74th) February 11, 2024
この制作については記事にしています。
現在でも、Boothにてキットを販売中です。
SparrowS V3(開発中)
キーケットVol.2に向けて、分割キーボードであるSparrow62シリーズの新作キーボードを製作中です。
Sparrow62シリーズは以下の特徴のあったキーボードでした。
- 格子配列に近いがわずかな湾曲
- 左右分割
- MCUにRP2040を採用
- 左右分割の片方にはIOエキスパンダーMCP23017を採用
- 薄さ追求
- Cherry MX互換、Kailh Choc v1/2スイッチ対応
- 一般的なキーキャップセットが使えるように、1U以外のキーも配置
- MagicTrackpadを組み合わせるキットあり
今回のポイントは以下の通りです。
- MagicTrackpadを良い位置に配置できるように右手のキーの基板サイズを特殊な形にする
- 右手のIOエキスパンダーとして、CH32V003を採用する
- 3Dプリントでケースを制作し、ガスケットマウントを採用する。けど、可能な限り薄くしたい
強めのリニアスイッチであるDurock Black Lotusを、分割キーボードの Sparrow62(+1)v2 に試そうとしました。 Sparrow62は薄くするために、机と一体化するように作っていました。 そのため、強めのスイッチの衝撃が全て机を受けてそれが指に跳ね返ってしまい、指を痛めてしまいました。 それから汎用ケースに対応したSparrow60Cを開発を進めていました。
また分割キーボードに戻ってきたいと思っていました。 今度はケースを作ろうと思い、積層タイプの3Dプリンタ Anker M5Cを購入しました。 これを使ってガスケットマウントが良いのかトライしたいと思っていました。 それにトライしています。
キーケットvol.2に出したいと思います。
Sparrow62v2のQMK Firmware対応
Sparrow62(+1)v2は既に完売していましたが、QMK Firmwareの対応の要望をいただきました。
Sparrow62(+1)v2は、左右分割キーボードの右手に、IOエキスパンダーであるMCP23017を使って実現していました。 QMK FirmwareはMCP23017をサポートする機能はないため、KMK Firmwareのみの対応としていました。 要望をいただいたため、QMK FirmwareでMCP23017に対応を頑張りました。
この対応の詳細は記事にまとめています。
Sparrow2.5D
3Dキーボードを簡単に作れないかと思い、奥行き方向のみ立体にできる自作キーボードを考えました。
結局まだ完成まで辿り着いていませんが、完成されれば面白そうです。
立体キーボードに、分割した基板間を、CH32V003をI2C IOエキスパンダとして使う試作、5つつないだところで動いたと思ったら、しばらくするとCH32V003が一つ不安定になる
— 74th (@74th) August 12, 2024
USBの出力電流を見ると3.3Vレギュレータの限界の800mAであり、かなり発熱している
なんかおかしい、、 pic.twitter.com/PTZpikSORn
イベント参加・出展
今年もいくつかのイベントに参加しました。
キーケット
2024年3月2日に開催された、自作キーボードの同人即売会キーケットにサークル出展しました。
これについては記事にしています。
天下一キーボードわいわい会 Vol.6
2024年5月6日に開催された天下一キーボードわいわい会Vol.6に参加してきました。
多くのキーボードに出会ったことを記事にしています。
天下一キーボードわいわい会 Vol.7
本当に多くのキーボードに出会ったので、そのことを記事にしています。
自作キーボードのライフの購入品
自作キーボード関連で購入したものを紹介します。
Cerakey
セラミック製キーキャップです。わいわい会で触らせてもらい、非常に良かったので、購入しました。硬質な感じが非常に良いです。
天キーで気になって、購入したCerakey v2が届いた。非常に硬質な感触、v2で差し込み部分がプラスチックになったブレのない感じ、とても良い。金属ケースとマッチする。今静音スイッチにしているが、通常のスイッチにしても硬い感じごより伝わってよさそう。 pic.twitter.com/8vFWSRPNZ1
— 74th (@74th) May 18, 2024
こちらで購入できます。
Ceramic Keycap Full Set-Blackwww.cerakey.com
磁気スイッチをポインターデバイス化 nobkey module
パレットシステム よっぴさん(@4py1)が提供する、磁気スイッチをポインターモジュール化するデバイスを購入して、実際に操作してみました。
ひとまず @4py1 さんのnubkey moduleを動かしてみています。
— 74th (@74th) June 22, 2024
とても繊細だけど、狙った位置に動かせなくはないことはない感じ。
最初キャリブレーションしても、左右だけやたら傾斜後あったのを、土台のネジを締め直して微妙に位置を調整したら、おおよそ上下左右の移動量が均等になりました。 https://t.co/I8vjz4qFZL pic.twitter.com/yzYYiNdQm9
現在もこちらで販売されています。
トラックパッド TPS43-201A-S
DigiKeyでトラックパッドのI2Cモジュールである TPS43-201A-S を試していました。 QMK Firmwareで動くようにしたことは以下の記事にしています。
今でもマルツ経由でDigiKeyで購入できます。
動くアームレスト
孤高のからあげさんの、動くアームレストをわいわい会で体験し、良さそうに思い購入しました。
#天キー で体験した @kokouyouga さんの、腕を浮かさずにマウスに移動できるアームレスト届いてお試し中。浮かす力を入れずにスムーズにスライドでスイッチできて良い感じ。
— 74th (@74th) May 10, 2024
若干付属している素材が肌に合わないので何か被せよう。 https://t.co/9MVGJXtyxh pic.twitter.com/loO4Z59ApX
同じローラーを使って3Dプリンタで自分用のアームレストを作ってみたりしていました。
こちらで販売されています。
自作キーボードで便利なもの
自作キーボード活動で便利だった道具を紹介します。
キースイッチ導通確認はんこ
Daraku-Nekoさんが販売するキースイッチ導通確認はんこを購入しました。
今でも自作キーボードのソケット実装後はまずこれを使って実装を確認しています。
Lofreeのスイッチプラー
Lofree x Kailh Shadow Switchを1ケース購入すると、スイッチプラーが付いてきました。 いろいろスイッチプラーを試しましたが、結局これが非常に使いやすく、ずっと使っています。
RP2040手はんだ実装位置決め治具
SparrowDial、Sparrow60C、SparrowG21と、RP2040を基板に直接実装したキーボードキットを作ってきました。 RP2040の実装は私の手で行っています。 しかし、0.4mmピッチの手での実装は神経を使います。 15近く実装しましたが、疲れました。
そこでRP2040の汎用位置決め治具を作成しました。 キーケット以降の増産分はこの位置決め治具を使って実装しました。 実のところかかる時間は変わらないのですが、実装に神経を使わずに済みました。
この制作については記事にしています。
現在、Boothにて販売中です。
ほかにやってたこと
Kailh Choc v2スイッチの対応キーキャップを調べた記事を書きました。
来年は…
来年はまずキーケット2にむけて、SparrowS v3を完成させ、販売したいと思います!