調査結果は記事の途中にあります。
Kailh Choc V2の新設計登場までを軽く振り返る
キースイッチメーカーKailhは、薄型スイッチとしてChocシリーズを販売してきました。私もChocの薄さに惹かれて、Lily58、Sparrow62キーボードでは積極的に使ってきました。一方Kailh Choc V1シリーズは、専用のキーキャップを必要とする構造をしており、今は種類が増えましたが、Kailh公式のキーキャップしかないという状態が長く続いていました。
その中、KailhはChocV2を2021年に発売しました。こちらはCherryMX互換ステムの形をしています。このため、種類豊富なCherryMX互換キーキャップを使用できるように思えます。しかし、CherryMX互換スイッチの特徴的な形を期待しているキーキャップが多く、中には使えないものも存在しています。
また、1ピンの追加と、中央の軸のサイズアップがあり、異なるフットプリントが必要になります。 Choc V1スイッチ対応自作キーボードがChoc V2スイッチには対応しないといった状況が生まれていました。
Kailh Choc V1データシート: https://www.kailhswitch.com/Content/upload/pdf/201915927/CPG135001D01-Red_Linear_Choc.pdf
Kailh Choc V2データシート: https://www.kailhswitch.com/Content/upload/pdf/202015927/PG135301D03.pdf
このChoc V2スイッチについて、最初、リニア(Red)、タクタイル(Brown)、クリッキー(Blue)3種類が発売されましたが、Choc V1の時のように多種の展開は行われておらず、私はてっきりDiscontinuedにするのかと思っておりました。
2つの新しいChoc V2の登場
そして、2024年、Lofree Flipにて新設計のChoc V2スイッチが利用されました。Kailh x Lofree Shadow Seriesと名付けられています。以下、Shadowスイッチと本記事では呼びます。さらに自作キーボードの愛用者にも利用できるようになりました。
この感触が非常に良く、以前天キーでLofree Edgeを触らせていただいたとき、その打鍵感の良さに感動しました。 素材が全て自己潤滑性を持つPOMでできており、引っかかりがなく滑らかです。 この新しいLofreeスイッチをいつか使ってみようと考えていました。
国内でも既に販売されています。
Lofree Ghost switch / linear (90pcs)shop.yushakobo.jp
Lofree Flow Switch (5 pieces)shop.dailycraft.jp
また、KailhからサイレントタイプのChoc V2が発売されました。それも好評だったKailh Deep Sea Silentブランドです。Kailh Deep Sea Silent MINIと名付けられているようです。
確かにこの小ささで静音が実現されており、今までカチャカチャ感の強かったChocシリーズの新たな一歩のように思えます。
国内でも既に販売されています。
さらに、この後も新しいShadowシリーズ仕様、Choc V2仕様のスイッチが登場しており、非常に盛り上がってきています。
私が作っている分割自作キーボードSparrow62の、次バージョンV3を考えていたのですが、やはりChoc V2のサポートは続けたいと思いました。
さて使えるキーキャップは
さて改めて、ShadowスイッチとChoc V2スイッチに対して、どのキーキャップが使用可能か検証することにしました。
本来は、Low Profile用と銘打たれたキーキャップを使うのが正しいと思われます。 ただ、私自身が所有していないのと、Sparrow62で以前使っていたときにはSDA Profileのものを普通に使っていたため、同様に使えないかと改めて所有しているものを検証することにしました。
それで実際にSparrow62v2をLofreeスイッチで使ってみて、Sparrow62v3を考えたいと考えました。
この際に検証するのは以下の点です。
- まず刺さるか?
- 一番ボトムまで押した時に、スイッチに干渉するか?
- 一番ボトムまで押した時に、トッププレートに干渉するか?
2.は想像が付くと思うのですが、ステムを受ける部分が奥まっていると3.が発生する可能性があり、トッププレートがたたかれてカンという強い音が発生します。本来キースイッチで受けるべき力を、トッププレートで受ける形になってしまいます。
これらを検証しました。
ただし、あくまで同Profileを名乗っていても、同様に使えることを保証するものではありません。本記事は利用した1例を紹介するものです。キーの外形よりも、内側の肉厚さが干渉を引き起こすため、同メーカのものであれば大丈夫な可能性が高い、程度に思っておくと良さそうです。
また、非対応であってもそれぞれは素敵なキーキャップであり、本記事はおとしめることを意図したものではありません。MX互換スイッチで楽しみましょう!
DSA Profile
最も安価で1u無刻印キーキャップでよく使われるDSA Profileです。全ての列で同じ高さのものです。遊舎工房さんとTalpKeyboardさんでも1個単位で扱われているため、1uを多用したキーボードを作る際に便利なものです。
今回使用したものは、遊舎工房さんで販売されている無刻印のものと、以前TalpKeyboardさんで扱われていたレーザー刻印ものです。
DSA 無刻印キーキャップ(1個)shop.yushakobo.jp
検証結果は、OKでした。
XDA v2 Profile
XDA Profileは、SDA同様全ての列の形が等しく、SDAよりも天面が広いのが特徴です。TalpKeyboardさんでも1個単位で無刻印を購入できます。
このうち、XDA v2 Profileと書かれた以下のキーキャップを利用しました。
検証結果は、NGでした。ボトムまで押した時に干渉し、さらに引っかかってキーが持ち上がりません。キーキャップ自体はいいものなのですが。
Cherry Profile(互換品)
今となっては低めのProfileに分類されるようです。同じ仕様の互換品がたくさんつくられています。
今回、私の所有していた、安くて良さそう思って買ったらコピー品に近かったものを使います(リンクは貼りませんが、爱菲というメーカーのもので、もの自体は良かったです)。
検証結果は、OKでした。トッププレートまでの距離も十分あります。
この結果は、数あるCherry Profileキーキャップのうちの、一つのメーカの例であることに気をつけてください。外形は同じでも、内側の肉厚さで対応していないことは考えられます。
Melgeek MDA Profile
Melgeek MDA Profileは、Melgeekの発売するキーキャップです。MDA Future Suzuriも同じものです。ダブルショットではなく、昇華印刷の仕様です。
Melgeek MDA Big Boneを使いました(正面からの写真を撮り忘れました)。以前TalpKeyboardさんから購入させていただきました。
MelGeek MDA ビッグボーン カスタム PBT キーキャップ セットwww.melgeek.com
検証結果は、OKでした。
安価なCSA Profile
Amazonやアリエクで販売されている安価なダブルショットキーキャップがあります。わりとしっかりとした作りで気に入っています。
https://aliexpress.com/item/1005005245490691.html
検証結果は、NGでした。押せますが、ボトムまで押すとプレートに接地しました。
XVX Profile
XVX Profileキーキャップは、Amazonやアリエクでも販売されている安価で背の低いキーキャップです。
写真のO、Iキーが前後が逆に刺してしまっていました…。ご容赦ください。
検証結果は、NGでした。LofreeスイッチはOKでしたが、Choc V2でボトムまで押した時にスイッチに干渉します。
XVX Low Profile(おおやけハジメさんより)
XVXのシリーズにはLow Profileのものも販売されています。
XVX Skyline R2 - Low Profile PBT Double-shot Keycap - WOBshop.yushakobo.jp
おおやけハジメさんから情報いただきました。XVX Low Profileはギリギリセーフとのことです!
XVX Lowprofileはギリギリセーフですね。 https://t.co/2QYgEf9HmG pic.twitter.com/KHPy7iMtCO
— おおやけハジメ (@digitarhythm) September 9, 2024
Pulsar Low Profile Keycaps(おおやけハジメさんより)
[US ANSI] Pulsar Low Profile Keycaps 104 setpulsargg.jp
おおやけハジメさんから情報いただきました。pulsarの販売するLow Profile KeycapはOKとのことです!
Pulsarの、Lowprofileも大丈夫でした!https://t.co/G9Wz7omdry pic.twitter.com/nPDGXl8XGu
— おおやけハジメ (@digitarhythm) September 9, 2024
Akko OSA Profile
Akkoが販売しているキーキャップです。遊舎工房で以前購入しました。安価な割にキーが豊富です。
OSA Profileには、Low Profileと付いているものもありますが、検証したのは付いていないものです。
検証結果は、NGでした。スイッチに干渉します。
MelGeek MG Profile
ここからは背の高いキーキャップの検証です。
MelGeekが発売する、SAに近い背の高くレトロな感じのキーキャップです。色合いがレトロでかっこよくて使っています。なお、写真のものは販売終了しているキーボードのキーキャップのみをメルカリで落札して手に入れました。
検証結果は、NGでした。スイッチと干渉はしませんが、トッププレートに接地してしまいます。
Drop MT3 Profile
Dropキーキャップです。セールの時に購入しました。背が高いレトロなキーキャップですが、わりとそういうのも打鍵感に良い影響を与えると思っています。
検証結果は、なんとOKでした。トッププレートと紙1枚の隙間が空きます。
SA Profile(互換品)
中華互換品のSA Profileキーキャップ(爱菲)を所有していたので試してみました。TaoBaoで買うと安いです。
https://item.taobao.com/item.htm?_u=720eid5eae6859&id=666499084888
検証結果は、NGでした。スイッチと干渉はしませんが、トッププレートに接地してしまいます。
検証結果まとめ
改めて表にすると以下となります。繰り返しになりますが、私の家にあったもので、全てのキーキャップでの結果を保証するものではありません。
name | 検証結果 |
---|---|
DSA Profile | OK |
XDA v2 Profile | NG スイッチ干渉 |
Cherry Profile(互換品) | OK |
Melgeek MDA Profile | OK |
CSA Profile | NG トッププレート干渉 |
XVX Profile | NG スイッチ干渉 |
XVX Low Profile | OK |
Pulsar Low Profile Keycaps | OK |
Akko OSA Profile | NG スイッチ干渉(LofreeスイッチはOK) |
MelGeek MG Profile | NG トッププレート干渉 |
Drop MT3 Profile | OK(しかし、トッププレートと隙間は紙1枚程度) |
SA Profile(互換品) | NG トッププレート干渉 |
Cherry MX互換仕様のLow Profileキーキャップ
いくつかLow Profileと銘打たれたCherry MX互換仕様のキーキャップが販売されています。
所有していませんが、どれか買ってみようと検討しているため、紹介します。おそらくLow Profileスイッチ用に作られているものようなため、大丈夫だと思われます。
Chosfox Low Profile
ChosfoxでChoc V1用のキーキャップセットも出ていますが、CherryMX互換スイッチタイプのLow Profileも発売されています。
THT(Tai-Hao Hins) Low Profile
Tai-HaoからもLow Profileモデルが出ています。
Lofree Flow/Edge
LofreeにてFlow/Edgeの交換用キーキャップが販売されています。
Sparrow62v2にShadow Ghostスイッチを付けて検証中
Shadow Ghost(リニア)スイッチを購入し、MDA Future Suzuriを差し込んで使ってみています。
おわりに
ぜひ、本記事を参考に、Low Profileスイッチの自作キーボードに挑戦してみてください。