自作キーボード用のキーキャップを自分でスプレーで塗ってみて、自分としてはうまく行ったと思うので、その方法についての記事にします。
ただし塗装によりキーキャップの触感は変わるため、好みが分かれる部分になると思います。塗装後はもとに戻すことは難しいため、記事を参考にする場合には、自己責任の上でお願いします。
Black on Whiteで入手可能なキーキャップ
自分の好みのキートップは、Black on Whiteと呼ばれる、黒い筐体の上に白文字を乗せたものになります。キートップの印刷に使われる昇華印刷(Dye Sub)には、白色はないため、二色形成(Double Shot)で作る必要があります。二色形成は金型から作る必要があるため、あまり多くの文字デザインのものは出回っていません。
現状購入可能で良さそうなものは以下の3つになります。
課題感
既存のキーキャップではなく、塗装&シール製作に手を出そうとしたのは以下のためです。
- Black on Whiteのキーキャップは昇華印刷で実現できないため、種類が限られること。
- すらっとした文字がキーに乗ることがかっこいいと思うため、既存のBlack on Whiteの二色形成のキーキャップのフォントは若干太いと思い、好みではないこと。
- キー配置が特殊なため、Cherry Profileなどキーの高さが行ごとに異なるキーキャップでは、特定の印字のキーが異なる行のキーとして作られています。そのため、正しい行のキーキャップを使用することを優先した場合、異なる印字のキーを配置する必要が出てきます。それはかっこよくないと思ったこと。
この課題感から、自分でキーキャップを塗装し、キートップシールを作ることにトライしてみました。
塗料の選択
キートップの塗装には、タミヤカラーマットブラックを使用しました。光沢のない黒が好みであるため、この色はとても気に入りました。
タミヤ スプレー No.06 TS-6 マットブラック 85006
- 発売日: 1983/11/10
- メディア: おもちゃ&ホビー
自作キーボードに使っていた安いOEMキーキャップを、タミアカラーマットブラック、つや消しクリアで塗装したら、思いの外質感良い塗装になった。自分で使うものならこれで良さげ。 pic.twitter.com/oqVsxNzuXG
— Atsushi Morimoto (@74th) 2021年2月1日
この上に、クリヤカラーを塗装することで、傷に強くすることにしました。この塗装には、以下のアサヒペン高耐久ラッカースプレーを使用しました。
塗装の仕方
塗装の順序は以下になります。
- マットブラック塗装1回目
- マットブラック塗装2回目
- シール貼り付け
- クリヤカラー塗装1回目
- クリヤカラー塗装2回目
シールの上からクリヤカラーを塗装することでシールごと傷に強くする効果があると考えました。
塗装にあたっては、以下のようにダンボールで塗装ブースを作りました。ダンボールの板にキーを斜めに貼り付けて、ダンボールと台ごと塗装することにしました。キーキャップの下面を塗ることができませんが、効率的に塗ることができます。
キートップシールの製作
キートップのフォントには、気に入っていて自分のUbuntuPCのUIフォントに指定しているMontserratを使用しました。
キートップシールの製作には、「透明台紙」「白インク対応」「任意のカットパス」「光沢なし」「安価」のシール印刷プロに印刷を依頼しました。入稿データの作成あたり、Illustratorを持っていないため、InkscapeのSVGファイルで入稿できないか相談させていただき、受け入れていただけました。
完成したシールの以下のようなものです。
日本語キーボード、テンキー、2Uのキーにも対応したシールになっています。調子に乗って、白と黒の2種類を作りました。Montserratはやっぱりすらっとしてかっこいいです。
ちなみに費用は白8枚、黒4枚の少部数製作で5,000円程かかりました。
Boothにて、数は少ないですが販売を開始しています。
キートップシールの貼り付け
シールに指紋がつくと、透明のシールのためなかなか目立ちます。きれいに貼り付けるために、ピンセットを用いて貼り付けを行いました。
シールの貼り付ける位置として、「キーの側面」と「キーの上面」の2種類があると思います。
今現在は「キーの上面」に貼り付けたキーキャップを使っています。キーキャップの上になにかものが乗っている感触があるため、人に酔っては抵抗があると思います。いまのところ自分としてはそんなに問題に感じていません。しかし、次のキーキャップの塗装に手を出したときには側面にしてみようと思います(1回目は側面に貼り付けていたが、ピンセットを用いていないときの為きれいではありませんでした。2回目は、実験のため上面に貼り付けて見た形です。)
傷ついて剥がれない?
指で触る部分のため、爪などで傷がつくと塗料が剥がれる心配があります。最初クリヤーカラーとしてタミヤカラースプレーを使い、クリヤーカラーはあくまで薄く塗装していましたが、1週間ほどで一部のキーの端の塗装が剥がれることが発生しました。そのため、高耐久ラッカースプレーを使い、わりと厚めに塗るようにしました。これにより、ラッカースプレーの感触が強くなりますが、自分としては問題ない範疇という結論になりました。
このキーキャップを2週間付けて見ていますが、今の所塗装が剥がれることは発生していません。
見栄え悪くない?
写真で見るとあまりシールとキーキャップが一体になっていないように見えますが、目で見た場合にはあまりそれは気になりません。白インクが非常に映えて、よい感じです。
若干シールの段差がある部分に埃が入るように思いますが、エアダスターでたいていはきれいになります。
他の塗装方法は?
プラスチックを染めることができる液体染料を使うと、より傷に強く確実に染めることができると思われます。
まとめ
Black on Whiteの、任意のキー配置の、スラッとしたフォントのキーキャップを作ることができて、非常に満足しました。
近い思想を持った方向けに、キートップシールを販売しております(残り4つほど)。
今回使用した自作キーボード Sparrow62 はBoothで販売しております。